落花生レクチャー

10月28日(金)  ほとんど雨の一日


玄関を開けると落花生の山。
今日はこれを片付けよう。
隣家のお嫁さんが自分でするって言ってたけど赤ちゃんいるし。
狭くなっている通路を母が無理矢理歩くので危なっかしい。
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お墓の花を片付けた。
生花は飾って美しいがすぐに枯れて水が腐るし、立ち枯れている花はいかにも寂しい。
管理人のいないお供物一切を持ち帰るように注意書きのある墓地では、飾って拝んで持ち帰るのがマナーだと私は思う。
ついでに言えば、花は左右対称に飾るのが常識ではあるから花束を買うなら2束買うのもマナー。
墓参りはどこまでも故人と自分との関係で、故人の家族に片付けの手間を取らせない配慮がほしい。
血の繋がらない遺族には全く関心無しも想定内だが、墓参に来たことをどうしても言いたければ電話一本で近況を問い、花は持ち帰ったと伝える方が親切。
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昨日葬儀のあった歯科医院。
あんなにお世話になったのに、お墓はどこか分からないのでお参りも出来ない。
迷惑をかけたくないポリシーを貫いていた方々だから一切を固辞されるだろうし。
医師は亡くなる瞬間まで元気に診療されていた。
夫は亡くなる日まで元気にスーツ姿で出勤していた。
人生の幕引きは選べないが、家族の衝撃は計り知れないが、本人たちはある意味、幸せだったような気がする。
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畑を歩いた。
まだ夏の野菜や花たちが頑張っている。
グラジオラスやカンナも咲いている。
健気で、なかなか片付けられない。
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思いがけなく早くパラパラと雨が降り始めた。
大急ぎで落花生のあとを片付けよう。
畑のあちこちに落花生の殻が散らばっているのでカラスが大宴会したらしい。
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散らばった葉っぱをかき集めていると近所の長にいさんが田んぼを横切ってやって来た。
わざわざ畑を見に来たのは初めてなので驚いた。
「ここ、落花生を植えとったろげ」
「うん、だいぶ取れたよ」
「もっと掘ってみにゃ、埋まっとるんが多いぞ」
「え、あ、ほんと、出てくる」
「それ見い、カラスが全部食うしまうぞ」
「ありがとぉ、掘ってみよわい」
せっかくのレクチャーなので掘ってみた。
案外たくさん残っていた。

夫が広めた落花生の種、長にいさんとこでも作っている。
土の中からたくさん取れたのかな。

雨が少し強くなってきたが、やってしまおう。
しばらくして、また長にいさんが田んぼを横切ってやって来た。
「あったろげ」
「こんなにあった」
「そりゃ少ないわい、もっとあるはずじゃが」
「鍬で切れてしまうんよ」
「そんな鍬じゃいかない、三つ鍬で掘らにゃ」
「三つ鍬は重いもん」
「芋でも何でも掘るんは三つ鍬で」
「ほんなら持って来ろわい」
「降ってくるけん、早よおしよ」
「にいちゃんも濡れるけん早よ入ってよ」

倉庫へ三つ鍬を取りに行った。
鍬は軽くなっていた。
夫が田を打ち畑を打ってすっかり細くなっていた。
この間買ったスエーデン三角ホーとほとんど重さが変わらない。
軽くなった鍬で土を掘った。
三つ鍬を使っていると、涙が出てくる。
どこかで見てるなら、泣いている私を見て。
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長にいさんはこのところ明らかに凹んでいる。
自分より一回り以上若い歯医者さんが亡くなった。
夫も長にいさんよりかなり若かった。
この2年間で隣り合って農家をしていた仲間が4人も80歳を待たずに亡くなった。
喜寿を迎える長にいさん、もう先が見えていると、誰だって考えてしまう。
だから、鍬の使い方も知らない素人の私にレクチャーしておこうと、雨の中を田んぼを横切って二度も見に来てくれたのだろう。
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本降りになったので通路に取り込んでいた落花生の実を取った。
一粒の種からこんなに増える。
あきれるくらい感動的。
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隣のお嫁さんが一生懸命手伝ってくれた。
雨に濡れながら後片付けもしっかりしてくれた。
大都会育ちなのによく頑張っている。
昨日は取り立ちをゆでて実家に送ってあげていた。
遠く離れて、実家のことがどんなにか気がかりだろうと思う。
洗って干して隣の玄関先に並べて鳥除けのネットで覆う。
落花生は一件落着。
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友人のお母さんが亡くなり、雨の中使わなくなった紙パンツを貰いに行った。
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金光教での葬儀だったので御玉串料を五千円包む。
もうすぐ97歳で亡くなったお母さんを思い出してすぐに涙ぐむ。
お母さんは最期までしっかりされていて、子どもや孫に貯金をたくさん残し、皆にありがとうとお礼を言ってぽくっと亡くなったそうだ。
世話好きで信心深く誰からも好かれる人柄は以前から聞いている。
ご主人が53歳で先立っているので、あの世で会ったら老けていてたまげるじゃろと笑いながら泣く。
「今だから言えるけど母ちゃんは父ちゃんの酒癖の悪さに苦労したんよ。大きな声でおらぶしダンスするしそのうち物を投げるし、私らは布団の中から目だけ出して見よったけど恐ろしゅうてたまらなんだ。母ちゃんはええとこの出で神戸の女学校を出たお嬢さんで、父ちゃんはこっちの県中じゃったけどあの時代だから学校頃から酒飲みでとうとう酒飲んで船に乗り込もうとして海に落ちて死んだんよ」
信心深い素晴らしいお母さんだったから大往生ができたんだねと意見が一致する。
橋もない島のことで死に目には間に合わなかったけど、悔いはないと聞いて安心した。
悔いを残させない死に方は素晴らしい子孝行だと思う。

母のお昼ご飯に上等のお弁当を買って帰った。
種類が多すぎて母は迷ってしまって、平凡な天ぷらうどんを選んだ。

午後、友人が混ぜご飯とケーキを届けてくれた。
私が最近バテ気味なので心配してくれたらしい。
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焼きたてのケーキも小海老のご飯もとても美味しくて、気持ちが嬉しくてたくさん食べた。
私には兄弟もいないし娘も浜松で何があっても間に合わない。
親しい親戚もないが、落花生を手伝ってケーキを焼いてくれる人がいる。
何の文句があろうか。

満腹になり、雨に濡れたせいか寒気もするし雨音を聞きながら寝てしまった。
猫がくっついていると暖かくて熟睡してしまう。
「…くん、…を守ってやってよ…頼むよ…」
母が毎朝夫の写真に語りかける言葉で目が覚めた。
暗い部屋で時計を見ると6時になっている。
やばそうなので熱を計ると微熱。
一体いつまで調子が悪いのか、自分。
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母が部屋を覗いている。
「もう起きたんけ、朝になったで」
え、うそ、パジャマも着ないで寝たのか、私。
いや、寝る前に時計見たら2時15分だったはず。
でも、母は朝だと言って聞かない。
テレビが朝だと言ってるそうだ。
ちょうど友人から電話があった。
「今、朝なん、夜なん」
「しっかりおしや、夜で」
夜でした。
母のご飯を出すと、朝はこのくらいにと言って食べていた。


今日の料理

サツマイモのツルの佃煮

朝ツルを取っていたもののしんどさに負けて皮を取らずに佃煮に。
半額の油揚げと一緒に濃いめの味付け。
最後に煎りゴマを。
筋っぽさは残るけど美味しい。
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